
持病があるんだけど、妊娠・出産・・・大丈夫かな。
オスラー病を持ってる人の妊娠・出産について、もっと情報を知りたいな。
こんにちは!みーです。
私は、オスラー病を患っていて、異常血管が肺に出現し、数年おきに手術を繰り返しています。
とはいっても、自覚症状はほとんどなく、オスラー病にいちばん多い鼻出血もほとんどありません。
ただ、オスラー病による肺動静脈廔(奇形)を患っていることから、医師からは「妊娠は100%すすめない」と言われています。
(妊娠中は血液量が増えることから、異常血管が広がる可能性が高く、特に肺動静脈廔をもつ妊娠・出産はハイリスクになると言われています。)
しかし、ありがたくも、今回第1子を妊娠し、お医者さんの管理のもと、無事に出産することができました。
妊娠中や出産前は、不安や心配を感じ、よくオスラー病患者の妊娠・出産についてネット検索をしていました。
お医者さんによる研究書や論文などはあるものの、なかなか実際の経験談がなかったので、
同じようにオスラー病をお持ちの方で、これから妊娠・出産を希望する場合の情報の一つとして、私の経験を書かせていただきます。
「オスラー病」とは?
オスラー病は、難病に指定されている遺伝性の病気で、全身の血管に異常(奇形)が起こり出血症状があらわれる病気です。
(詳しくはこちら)
症状としていちばん多いのは、鼻出血です。人によってその程度はまちまちですが、ひどくなると鉄欠乏性貧血を合併し、さらには輸血が必要になる人もいます。
また、異常血管によりさまざまな合併症を引き起こし、細菌が入り込むと脳梗塞や脳腫瘍、心筋梗塞といった重大な病気を発症することもあります。
自分のオスラー病の症状について
私の場合、父のオスラー病を遺伝したようで、肺に血管奇形があります。
定期的に経過観察を受けていますが、数年ごとに血管の病変が認められるので手術を繰り返し受けています。
遺伝子検査を受けていないし、薬の服用等もないので、難病の申請をしていませんが、オスラー病の診断基準を3つ以上満たすので、オスラー病と診断されています。
痛みや出血などの自覚症状はなく、日常生活を送る上で支障はありません。 仕事も問題なく行うことができ、勤務する上で気をつけなければいけないことも今のところありません。
<私のオスラー病の経過> ・大学の健康診断で肺動静脈廔が見つかる。 ・18歳時にカテーテル塞栓術1回目
・24歳時にカテーテル塞栓術2回目
・31歳時にカテーテル塞栓術3回目
・33歳時に妊娠発覚
妊娠の経過について
妊娠が発覚したのは、3回目の手術から1年が過ぎた時でした。
このとき、まだ術後の経過観察中だったので、お医者さんからは計画的な妊娠だったのか、とお叱りの言葉を受けました。。
10年以上自然妊娠をすることがなかったので、正直いうと、自分が自然妊娠するとは予想していませんでしたが、オスラー病をもっていることが母体のリスクを上げることや、オスラー病が優性遺伝であり子に引き継がれる可能性が高いことも認知した上での妊娠でした。
妊娠が分かった以上、リスクを覚悟の上で出産まで無事に進むように大きな総合病院を受診しました。(3回目の塞栓術後、家庭の事情で関東から関西に引っ越ししたので、もともとかかっていた病院から紹介状を書いてもらいました。)
産婦人科だけでなく肺循環科とも連携していただきながら、お医者さんの丁寧な管理のもと、妊娠継続を優先して生活しました。
〇妊娠初期
・つわりがある。
・赤ちゃんが無事でいるか、いつも不安。
〇妊娠中期
・毎朝鼻血が出るようになる。
・出血は、5分程度で止まる。
・耳鼻科への紹介状を受け、受診。
・総合病院にて検査入院。
赤ちゃんに影響のない、できる限りの検査を受ける。
心エコー、胸部レントゲン、CT、MRIなど →大きな問題は無し、肺血管の病変は無し。
〇妊娠後期
・朝や風呂時に鼻血。
・鼻出血の量が増える。
・ティッシュでおさえていても鼻から噴き出すように出血。
・15分~30分程度で止まる。
・若干の貧血。鉄剤服用。
・出産前に、再度検査入院。
心エコー、胸部レントゲンなど →大きな問題は無し、肺血管の病変は無し。
・予定日2週間前より管理入院
※↑赤アンダーラインや赤マーカーは、通常の妊娠時にはあまりないと思われる症状や対応です。
オスラー病としての症状は、それまでなかった鼻血の出現がありましたが、
他に大きな問題はなく、比較的順調に出産まで進みました。
出産の経過について
予定日2週間前より入院し、お医者さんの管理のもと出産に臨みました。
初めての出産だったので、予定日を超えるだろうなと思っていましたが、入院して次の日から出産の兆候があらわれ、予定日ピッタリに出産しました。
入院2日目:おしるし
入院3日目:前駆陣痛が始まる
入院4日目:本陣痛が始まる→破水→出産
お産時は、心配されていた出血量は予想以上に少なく、血管にもトラブルがなく通常の経膣分娩で出産することができました。
赤ちゃんも無事、母子ともに健康で出産を終えることができました。
産後の経過について
産後は、入院中に心エコー検査・胸部レントゲン検査・心電図検査などを受けましたが、結果は正常の範囲でした。
悪露やむくみなど、産後の諸症状は通常の妊婦さんと同様でした。
出産を終えてまだ2週間経ったところですが、振り返ってみるとここまで思っていた以上に順調に問題なく妊娠・出産をすることができました。
もちろん、通常の妊娠・出産よりもハイリスクであることは変わりがなかったので不安はずっとありましたが、お医者さんの管理があったからこそ、無事に終えることができました。
赤ちゃんがオスラー病を遺伝しているかどうかの検査はまだ未受診でお医者さんと相談する予定です。
もし遺伝していた場合、今後の治療等をどのように進めていくかについても考えていく必要があります。
さらに、自分自身のオスラー病の経過観察もやはり定期的に行わなければいけません。
今後について
ここまでオスラー病をもちながら妊娠・出産した経験を書きましたが、
人によっては、そもそも母子とものリスクを冒してまで妊娠・出産する必要があるのか、という考えをお持ちの方もいらっしゃると思います。
私自身も、自分のため・赤ちゃんのために、妊娠・出産は望むべきではないと思っていました。
しかし、時を経るごとに、自分の考えも変わっていきました。
”大切な人との子どもを授かりたい、大切な人と一緒に子どもを育てたい”という気持ちが、心の奥にあるのを感じるようになりました。
”もしも子どもを授かることがあれば、できる限りの手を尽くして大切に育てよう”と思うようになっていました。
今回私が無事に出産を終えることができたのは、ラッキーだったのだと思います。
たまたま順調に妊娠を継続することができて、たまたま持病を悪化させることなく赤ちゃんをこの手に抱くことができたといえます。
中には、同じ病気を抱えながら様々なトラブルに見舞われた方もいらっしゃるでしょうし、最悪の場合命を落とされた方もいらっしゃるでしょう。
ただでさえ、妊娠・出産というのは命がけです。
オスラー病をもつ私が大丈夫だったから、あなたも大丈夫、とは限りません。
ご自身の病気や環境などをよくよく考え、周りの方からのアドバイス等も参考にして、妊娠・出産について考えてほしいなと思います。
私が思うに、病気とは付き合っていくしかないです。
病気をもって生まれたから不幸なのでしょうか。
病気をもって生まれたから親を憎むのでしょうか。
私の答えは、いいえ、です。
病気をもって生まれた私には、私にしかできないことがあるから今ここにいると思っています。
誰しもがその人にしかできないことがあって生まれてきた、と信じたいです。
もし私の子がオスラー病をもって生まれてきたとしても、
私はこの子にはこの子自身の使命を感じながら、病気とともに前向きに強く生きていってほしいと願っています。
私のエゴを押し付けているのかもしれませんが。
最後に
今の私は、子どもができて、自分の時間が減り、経済的にも大変になりました。
増えた体重は減らないし、体中のあちこちが痛くて、辛いと感じることも多いです。
でも、出産して自分の子を腕の中で抱くたびに、今まで感じたことがない幸せな気分でいっぱいになります。
出産で失うものがあるかもしれませんが、それによって得られるものは計り知れないほど大きい幸せです。
望んでも簡単には手に入らない「生命」という授かりもの。
自分のところに来てくれたことへの感謝を胸に、これから大切に育てていこうと思います。